犬の痛みについて、
こちらで、
犬が感じる痛みの程度を動作から判断、レベル0から4までの5段階で評価する基準を、研究者らでつくる「動物のいたみ研究会」がまとめた。(中略)犬の痛みに関連する動きを42項目リストアップし、痛みのないレベル0から最も強いレベル4に分類した。
という記事が紹介されています。
この記事については、もう、幾つもの所でご紹介・意見が書かれています。
私は、犬や猫の痛みについて、とっても興味があって、でも、頭が整理できなくて、色んな方の文章を読んでいるうちに、もっとまとまらなくなってしまっています。
多分、他の動物の痛みについて、どんな痛みなのか、どのくらい痛むのか、理解してあげることはできることではなくて、だからこそ、獣医療として、指標ができたり、分類化したりするのって、大事なことなんだと思います。
そのことで、獣医療のペインコントロールに対する進展も望めるのだとも思います。
一方で、
こちらのブログの中に書かれてあるように、
頭でっかちの獣医や、動物が好きで獣医さんになったのではない人だと、記事にある指針だけを参考に治療する。
ようなことになってはならないと思うのです。
治療全般においても、最新の機器や検査器具によっての数値や結果を重視するあまり、基本の触診を怠ったり、問診を大事にしなかったり、バイタルサインのチェックによる全体的な容態を見逃すと、大きなミスに繋がることがあると思うのです。
それが
、「痛み」という個体特有のものであれば、より一層だと思います。
犬自身は、痛みの程度をヒトにわかるように口で伝えることもできないのですものね。
そして、その子自身のことを一番理解し、一番気持ちを代弁できる立場にあるのは、飼い主なのですから、
指標による分類、獣医師の診断、飼い主の稟告・・・この3つを大事にしながら、判断をしていくことが大事なことなのではと思いました。
きっと、色々な難しいことが含まれているように思います。
痛みには犬種差がよく言われます。
同じ程度の傷や手術でも、柴犬は、キャンギャン大騒ぎをし大げさな態度をしたり、ラブラドールやゴールデンは、静かに受け入れたりする傾向があると言われています。
これは、柴犬のほうが、ゴールデンやラブラドールより、痛みを強く感じているのでしょうか。
それとも、同じ痛みを抱えながら、表現が違うだけなのでしょうか。
飼い主の稟告についても、難しさがあります。
SA Medicine Vol.2 no.5 2000 9の特集痛み2(前編)の前書きにも、
(オーナーは)痛みを見過ごしていたり、逆に痛みがないにもかかわらず動物に感情移入し、自分の痛みのように訴えたりと、オーナーの稟告からではかえって痛みの評価に混乱を招く可能性さえある
と書かれてありました。
診察台の上の動物と、普段の生活の中での犬猫の様子は、全然違います。
普段のいつもを知っている飼い主だからこそ、変化に適切に気づき、痛みを感じてあげることができる場にいるものでしょう。
でも一方で、先日も明らかな跛行をしたり、立ち上がるのを拒絶したり、あぐらをかいたりしている若いラブの飼い主さんに、「一度、検査をされたらいかがですか。」とお話したら、「この子は一度も、痛いって鳴いたりなんてしてませんから」といわれました。
確かに、気づいてあげるのが遅い方も、過剰に心配される方もいると思います。
慢性疼痛は、それに適確に気づいて、その程度を把握してあげるのは、難しいとも思います。
「痛みをとる」「痛みを和らげる」このことは、医療の原点で、私達飼い主が一番に願うことで、きっと必ず、犬・猫達もまず望むことです。
このことに対し、研究が進んでいることがうれしいし、もっともっと積極的な治療をして欲しいし、私達飼い主も、敏感になっていってあげられたらと思います。