(Jude the Obscure )
今日は、秋風の中の、しつけ教室でした。
若い明るい子達の笑顔が溢れていたのに、撮影する時間がなくって残念です。
教室の後、友人と、昨日亡くなった子にご挨拶に行きました。
数回しかお会いしたことはなかったのですが、抗がん剤治療をしながらも、とっても元気にしていて、ふわもこの美人さんで、高いところにもピョンって身軽に飛び乗るし、プライドの高さが妙に憎めない可愛らしさになっていて、本当に魅力的で素敵な子でした。
何だかまだ、元気な頃のその子のイメージしかなくて、信じられない思いでいっぱいです。
また、寂しくなります。。。
食べる、飲む、排泄する・・・そんな生きるものとして当たり前の行為をするたびに、辛い発作がおきてしまっていたそうで、その子自身はもちろんですが、さぞ、御家族も、お辛かったことと思います。
とっても穏やかなお顔でした。
いっぱいいっぱい頑張って本当に偉かったですね。
楽になった体で、ピョンピョンはねるように、楽しそうに走り回っているのかな。
心からご冥福をお祈り致します。
先日、ドッグランにご一緒してくださった方のワンちゃんも、
扁平上皮ガンの手術をなさったとのこと。
昨日のサンクとの病院でも、
肥満細胞種の子の飼い主さまと、色々お話をしました。
どうして、こんなにガンが多いのでしょうか。。。。
扁平上皮ガンの子も、肥満細胞種の子も、
四肢に出来たガンなのですが、どちらの飼い主さまも、獣医師から
断脚の話もあったものの、選択できなかったそうです。
肥満細胞種の子は、
皮下で転移が起きていて、複数個の腫瘍があり、グレード2、マージンも難しい状態の様子でした。
我が家のくっくは、違うガンではあるけれど、
放射線治療を受けたこと、メガボルテージの施設があるのは、A大学と、M病院のことなどをお話させて頂きました。
どのような選択をなさるのかはわかりませんが、上手くガンが管理できることを祈るばかりです。
断脚するのかしないのか。放射線治療を受けるのか。抗がん剤治療をするのか。
ガンの治療では、難しい選択ばかりです。
そればかりではありません。
最近では、
免疫療法を小動物でも受けられるようになり、実際治療を始めている方もいます。
自己リンパ球を用いた養子免疫療法は、人でも、まだ限られた病院のみでの治療で、大変高額な治療です。
イヌなどの小動物に適した
骨髄移植法も検討されているそうですし、
分子標的薬や、
遺伝子治療など、きっとどんどん、小動物の治療も広がっていくと思います。
愛犬を亡くしたある友人と話をしたのですが、
「
どこまでの治療を選択するべきか」
これは、とっても難しい課題で、これから、ますます、飼い主は、決断に悩むことになるのだろうなっと思いました。
お互い、今、末期がんの子を抱えている状況ではなくて、亡くしてからの月日もたっているからこその、冷静な会話だったのかもしれませんが、
「どこまで可能性にかけるべきなのか」
「犬・猫の治療にどこまで費用をかけるべきなのか。」
「延命の効果と治療内容を天秤にかけたとき、犬・猫にとって、望むべき治療は、人とは違ってくるのではないか」
というようなお話をしあったのです。
結果論としては、抗がん剤治療をしたことで、穏やかな1年を送れた子もいて、逆に、苦しむ時期を長くしただけで、効果らしい効果もみられず、亡くなっていく子もいて、だからといって、自分の犬が、どういう結果になるのかはわからなくて、本当に難しいですね。
そして、私はくま子に
安楽死を選択し、友人は、安楽死をしなかったけれど、それでも、安楽死も考えたそうですし、辛そうなその子を見て、「今、心臓が止まってくれればいいのに」と思ったこともあったそうです。
先日亡くなった大切な方が、闘病中、
「犬は安楽死が選択できて幸せだ」
と言われていたそうです。
その方は、まだお若く、あらゆる面で前向きで、たくさんの方に厚い信頼と尊敬を受けていた方で、意志の強い方でした。
苦しいことが続くだけの毎日は、できたら送らせたくありません。
その病気が、今後、激しい痛みの中、死ぬことが明らかになっていて、その日が迫っているのなら、できることなら、苦しむことなく安らかに・・・っと考えてしまいます。
でも、その子の、
QOL(クオリティー・オブ・ライフ) をどのように評価するのかも、その子によっても、飼い主さんによっても、変わってくることで、本当に難しい課題だと思います。
2004年に日本獣医内科学アカデミーで、お聞きした、
「リンパ腫と肥満細胞種の診断と管理の最新情報(2004年)」Dr.Gregory K.Ogilvie
のお話では、最新の治療方法の選択によって、肥満細胞種の生存率は、
グレード2(文字化け予防のため英数字で書いています)なら、1990年の際の5年生存率は、40%だったけれど、2004年は、90%に延ばせるだろう。
グレード3は、1990年の時は、わずか4%だったけれど、2004年は、40%を目標にしている。
グレード1にあっては、100%の生存率が目標だとお話になっていました。
グレード3であっても、5年間、約半数の子が生きられるのなら、もしかしたら、ガンによって死ぬのではなく、穏やかな老衰も考えられるように思います。
最新の治療を研究している先生方は、本当にすごいなーっと思いますし、お聞きしているだけで、わくわくもします。
でも、最新の治療、先端治療を、自分の犬に受けさせることができるのか、又、それを選択するのかは、また、別の問題になっていくようにも思います。
私は、ケアを怠らず、早期発見にこころがけるべきと思うし、積極的な治療をするべきと思うし、可能性にも賭けるべきとも思います。
それでも、
どこまでもとは思わないし、場合によっては選択肢は大きく変化するように思っています。
皆様すでにご存知と思いますが、
「ペットががんになった時―診断・治療から看取りまで
日本獣医畜産大学・助教授 鷲巣月美 編 三省堂」
は、とっても良い本です。
ガン治療の難しい内容も、私達にわかりやすく丁寧に説明してくださっています。
いつか、また、きちんとご紹介したいと思うのですが、この本の中の下記文章のみ、ご紹介させてください。
「がんの治療に関しては、最後まで闘わなければならないということはありません。何もしないということも非常に重要な選択肢だと思います。・・・・(中略)・・・・・・決して何かしなければならないということではないということを覚えておいていただきたいと思います。あえて何もしないという選択肢が、動物との最期の時間を充実したものにしてくれることもあるのです。」
今も、たくさんの方が難しい選択をし、治療とケアをなさっています。
どの子にも頑張って欲しい。
どの子も、穏やかであってほしい。
そして、ガンという病気が、克服できる時代になりますように・・・。