ほんわり*ふぁ
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外耳炎・耳血腫
先日、あっとんの専属運転手で、病院に付き添いました。
あっとんは、待合室でも、おとなしくとってもおりこうさんで、治療中も、「くぅ~」って目をしながらも、声も出さず、動きもせず、我慢してました。
見学兼お見舞いに同行した、ふぁーちゃんは、ずっと、ぼけっとしていました。^^;

<外耳炎>

犬達はこの時期、皮膚にカイカイができたり、耳がぐちゅぐちゅしたりが多いですね。
外耳炎って、みんながなる位、お散歩仲間でもあふれていて、だけど、軽視したり、清潔に保つのをさぼったりすると、慢性化してますます厄介になってしまいます。
そして、中耳炎になったり、痒がって首を振ったり足で掻くことなどで、耳血腫になったりすると、再発したり手術になったり大変なことになってしまいます。

改めて、勉強しなおししてみました。

外耳炎を起こす場所、お耳・・・・外耳道は他の体表皮膚と構造は同じ なんです。
なので、「皮膚炎が、お耳に起きた」状態なんですね。

そして、皮膚に起きた炎症は、なんでも皮膚炎、外耳に起きた炎症は外耳炎っとひとくくりにするのは、とっても大雑把な名前でしかありません。

今、皮膚のトラブルでは、アレルギーとかアトピーなどが、増えて話題になっていますが、同じ皮膚炎である外耳炎も一緒なのです。
「耳の病気」ではなくて、「全身性疾患の表れ」の一部であることが、多いのです。

外耳炎の発生と進行は、3つの因子にカテゴリー分類されています。
それは、「原発性因子」「好発因子」「慢性化因子」です。

「原発性因子」
・寄生虫感染
・異物
・腫瘍
・基礎疾患
 アレルギー疾患
 角化異常性疾患
 自己免疫性疾患など

「好発因子」
・先天性因子
 被毛の存在
 アポクリン腺の過形成・過剰分泌
・耳道内の水分の存在
 シャンプーや水泳
・不適切な治療
・気候など

「慢性化因子」
・細菌
・酵母
・中耳炎
・外耳炎に対する病理学的変化
 上皮の過形成、耳道の狭窄

例えば、アトピー疾患で、もともと皮膚が弱くて(原発性因子)、お耳が垂れていて、耳の中にも毛が密生していて、しかも湿気が多い季節(好発因子)に発生し、その結果として、不可逆的な病理変化(炎症による角質の肥厚、表皮の肥厚、繊維化、石灰化)が起きて、耳道が狭くなって、より多湿にもなり、さらに、微生物が増えやすい環境(慢性化因子)が作られて、治りにくい外耳炎になってしまうのです。
・・・・・むずむずしてきて、書いているだけで、掻きたくなってきます。(>_<)

ですから、耳道洗浄や、抗菌剤や抗真菌剤などで、きちんと処置をしてあげて、それでも繰り返したり、なかなか治らない場合は、アレルギー、アトピーなどの基礎疾患も、治療をしていかないといけないのですね。

アトピー疾患の犬の55%は、外耳炎を併発しているそうです。
さらに、アトピーの3~5%の子は、症状が外耳炎のみと報告されています。

食物アレルギーを有する犬の80%は、外耳炎を併発していると報告があります。

角化異常症
・原発性脂漏症・・・遺伝的な機能異常、代謝異常 コッカ・スパニエル、バセット、シーズーなど
・二次性角化異常・・・アトピー、内分泌性皮膚疾患

免疫介在性疾患・・・・・全身性エリテマトーデス、天疱瘡など

老犬の場合

必ずしも、老犬に限ったことではありませんが、両側性の外耳炎の場合は、内分泌疾患、片耳性の場合は、腫瘍の場合がありますので、注意が必要で、場合によっては、精査する必要があります。

<外耳炎の治療>

★洗浄

局所治療で、最も大切なのが、洗浄です。
生理食塩水が多く使用されます。
細菌性外耳炎の場合、抗菌作用をもったクロルヘキシジン0.05%が、自宅洗浄液としてよく用いられます。
鼓膜や耳道表皮を傷つけないようにすることが大切です。

自宅では耳道内に注入した後、垂直耳道付近を軽くマッサージして、その後、犬自身に耳を振らせて、耳垢を排出させます。
犬が振ったことで外側に出た耳垢や水分をふき取る程度で、絶対に綿棒などで、耳介内をこすってはいけません。


やわらかい綿棒や、耳鏡のスコープが触れるだけでも、その刺激で炎症が起き、外耳炎を悪化させる原因になります。

★外用剤

抗菌作用(抗生剤)
抗炎症剤(グルココルチコイド)
抗真菌製剤

抗生剤を何を選択するのか、ステロイドを使用するかが、選択になります。
中耳炎の原因菌には、耐性菌も多く存在します。
きちんと検査(耳垢の細菌の同定と感受性試験など)をし、抗生剤の特質を知り、無用あるいは不適切な使い方をし、耐性菌を作らないように配慮することが大切です。

液体やローションタイプが多いのは、耳道を閉塞するのを防ぐためです。

安易に市販薬を使ったり、長期に渡って、検査をしないままでのお薬の投与や、カルテ内容の伝達のないままの、病院ジプシーなどは、外耳炎の治療には、リスクが大きいので、注意が必要と思います。

★全身治療

外耳炎を起こす基礎疾患の治療のための投薬など
アレルギー性疾患や自己免疫疾患のように完治が難しく治療が継続するものが多くなります。

★外科治療
外側耳道切除、垂直耳道切除、全耳道切除など

<耳血腫>

近所の子でも、立耳の子なのですが、片方の耳は耳血腫で垂れて、餃子のようになってしまっている子がいて、散歩中も常に耳を気にして頭を傾けて歩いていて、痒そうにしていて、見ていて辛そうです。

耳血腫は、頭を振ったり、耳介をぶつけたりしたときに生じる、耳介内の血腫です。
一般に外耳炎などから続発します。
垂れ耳の子に多いのですが、立耳でもみられます。

耳介が腫脹しているのを感じたら、なるべく早くに獣医師に治療をしてもらって下さい。
早くに処置をしないと、どんどん血腫が大きくなるし、耳介が変形してしまいます。
血液を抜く方法では、またすぎ再発をするので、外科的処置を行うことが多いです。
術後は、耳に変形が残る場合があります。

耳血腫の原因になった外耳炎などの治療と、耳血腫の治療を並行して行われます。

痒みで頭を振ったり、足で掻いたり、床に耳をこすりつけたりしているとき、ほおっておかないで、治療をしてあげることが大事です。
耳血腫の治療や手術をした後も、適度な圧迫を持続し安静にすることが大事なので、どたばたしたり、耳を振ったり掻いたりしないよう、同じような注意が必要です。

最近、色んな病気のことで、しょっちゅう重なることが、「犬種特性」や「免疫」などの言葉です。
もともと、免疫力が弱かったり、アトピーなどになっている子は、長期間の治療をしたり、食事内容を改善したり、環境を考えたり、色々なさっても、なかなかよくならなくて、ご苦労されている方がたくさんいます。

色んな病気で、今、一番問題なのは、「無闇に病気を増やしている繁殖」だと思います。

外耳炎だから、親がガンだったから、祖父犬の足が悪かったから・・・そんな風に考えていったら、繁殖できる犬なんていなくなってしまうのかもしれません。

でも、わざわざ、私達素人が、毎年季節になるとカイカイで苦労している犬や、遺伝性疾患の検査を継続していない家系の子に、繁殖をさせることは、絶対に必要ないし、病気を蔓延させる手伝いをしないようにすることは、愛犬家として、考えていくべき大切なことだと思います。
by phacelia | 2005-09-13 22:15 | 犬 病気のこと