ほんわり*ふぁ
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供血について知りたい方へ
供血について考えてみました

供血のお申し出、複数の方から頂いております。大変に感謝しております。
それぞれの現在の健康状態などから、再度、飼い主さまからご連絡があることと思いますが、継続で必要となる可能性が高いこと、クロスマッチの結果によっては適合しないこともあることや諸事情も考え、継続して、供血をお願いしております。宜しくお願い申し上げます。

また、供血について関心を寄せてくださる方が多くなり、とても有難く思っております。
一方で、少し心配でもあります。

何からどう書けばよいのか、わからないでおりますが、コメントでは書ききれなかったので、自分のブログにトラックバックしました。
箇条書きになってしまいますが、お許しください。

まず、輸血療法は、高度医療が進むに伴って必要性がましてきたものです。
飼い主の方が犬や猫に対しての治療のニーズが変化しているのです。
そして、高度医療は、大学病院など限られた病院でだけ行われていたものが、一般の動物病院でも、どんどん取り入れられるようになってきました。

ある程度の規模の病院では、供血犬、供血猫を抱えている場合が少なくはありません。
そして、緊急の事故や病気での輸血に対応なさっています。
しかし、高度医療の進歩やニーズの変化によって、輸血の機会が増え、病院内の動物だけでは、なかなか対応できなくなっているのです。

犬の血液型は、正確には9種類ではありません。現在のところ、13の型系が知られています。
しかし、この何種類もの血液型の犬を揃える必要があるのではありません。
それぞれの輸血が必要な犬の状況や緊急度によっても違うと思いますが、DEA1.1が、抗原性が高く、特に輸血時に問題になってきます。(イリノイ大学の資料によれば、供血万能犬としては、DEA1.1の他、DEA1.2および7についても、陰性であることが望ましいとあります。)
そして、輸血医療の際は、供血をする犬と輸血を受ける犬との間での「クロスマッチ」試験の併用が必要です。ヒトの医療でも、必ず行われています。これは、お互いの血で交差試験を行うのですから、事前に行えるものではありません。
場合や状況によっては、クロスマッチ試験だけなら、獣医師同志の協力が得られれば、供血希望の犬の掛かりつけの病院へ、輸血を必要としている犬の血液をバイク便で送り、検査をすることも可能ですが、輸血を必要としている子は、何度も病院に行くことも負担になる状態であることも考えられますし、なるべく健康な子が動いていただけたらと思います。

血液バンクのお話をする前に、犬・猫の輸血は、今現在は、ほとんどが、「新鮮全血」での輸血です。
冷却遠心を行い凍結保護剤を添加し-80℃で凍結処理すれば、長期間の保存も可能です。
保存のための施設を設け、供給と保存のバランスが保たれるのであれば、より有効な活用ができます。
血漿製剤(新鮮血漿、新鮮凍結血漿、濃縮血漿)の輸液は、輸血による副反応を減らすことも可能になります。
でも、今はそのための設備があることも、そして供給と保存のバランスもなかなかに難しい状況です。
苅谷動物病院では保存血液の有効活用を始められています。

新鮮全血での輸血の場合、必要な子がいて、その子に対し、その時に、供血できる子を探すのです。「貯金」はできないのです。

もし、そのための多くの頭数の犬猫を抱えることを必要とするのなら、供血犬、供血猫の福祉について、十分な配慮が必要になります。
自分達の犬猫に高度医療を受けるために、健康な犬猫が、供血のためだけに、生きている子達がいるとすれば、それは、どういうことか、考えてみていただけたらと思います。

多くの一般家庭の犬猫達が、供血の協力をすることで、自分達が、病気・怪我などで必要な血液を保持することができること、お互い様のシステムが当然のようにできることが一番なのではないでしょうか。
そのための、ネットワーク作りを、獣医サイドでも始められつつあります。
千葉市獣医師会、苅谷動物病院、そして福岡獣医師会や様々な病院での取り組みが始まっています。

海外の中では、動物病院、地域での呼びかけはもちろんですが、ゴールデンやラブ、ボーダーなど様々な犬種団体での供血・輸血のシステムもできていて、保護団体や、ネットでのシステムもあります。民間で行われている血液バンク会社なども含め、様々な供血を受ける手段があります。
色んな方の、色んな善意が、色んな場所で拾い上げられるようになっているのです。
私は、そうあって欲しいと思っています。

新鮮全血が、現在の輸血手段である以上、相手があっての輸血になります。
ネットワークは、必要な時に、元気な子のリストがなければなりません。
個人データを集めるためのネットワークが必要になります。
ですから、単にポスターなどで呼びかけても、ネットワークにはならないのです。そういったシステムを作ろうとしている病院や多数の大型犬を抱えているブリードクラブなどでの活動は、大変意味を持ちます。

供血をして下さる子の体重についてですが、これは、体重によって、一度に供血できる量が限られてくるので、希望体重が決まってくるのです。
輸血が必要な子の大きさや、病気や手術、怪我などで必要となる血液の量によって、それに見合った血液を供給できる子が必要になります。

身体には免疫機能があって、他者の侵入に対し反応を起こします。
頭数が増えると、輸血の副反応のリスクもそれだけ高くなりますので、なるべく少数の犬からの輸血が望ましく、1頭当たりの供血量が多く必要になります。

輸血を受ける犬のため、そして供血をする犬の体のために、それぞれの状況で、希望する体重が変わってくるのです。

高度医療が一般の動物病院で行われるようになったのも、飼い主のニーズが高まってきたのも、最近のことです。
これによって、必要な輸血のシステムも、今、始まっているところなのです。
どうか、動物病院に、不必要な負担や非難をしないで頂けたらと思います。

今後の期待は大きくなっていきますが、今、私達にできること、これからも続けることが必要なことがあると思います。

「供血のお願い」のページは、必要に応じて作りました。
たくさんの方のお力添えを頂いて、皆様がリンクやお知らせをして下さることで、呼びかけに応じてくださる方も増えてまいりました。
ちっちゃな、とりあえずの活動です。
でも、ちっちゃな活動が、人と人の繋がりを作り、広げていくことができると思います。
どうか、今後とも、お力添えを心からお願い致します。

以上で、なんとなくトラックバック元のお返事になれたでしょうか・・・。
ぷりんママ、真剣に考えてくださってありがとうございます。
また、何かありましたら、お話を聞かせてくださいね。

もっと詳しくお知りになりたい方は、どうか、下記をよく読んでみていただけたらと思います。
http://www5a.biglobe.ne.jp/~wantail/aigo/blood.html
http://www.petportal.jp/mt/
http://www.symbiosis.jp/blog/
その上で、J-VET December 2004、第6回 日本獣医学フォーラム年次大会2004、SAMedicine Vol.6No.5 2004および、臨床マニュアルや、救急療法マニュアル 等もお読みになれば、より理解できるのではと思います。
獣医師会などで動き始めている最新情報は、獣医師会に直接尋ねて頂けたらと思います。
宜しくお願い申し上げます。
by phacelia | 2005-07-04 23:04 | 犬 病気のこと